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洋書 Bibliophile's Chitchat

読んだ洋書や日々の読書について語っています。

On the Beach 読了

 ご無沙汰しておりましたが、先週日曜日に読み終えました。On the Beach。

On the Beach (Vintage Classics)

On the Beach (Vintage Classics)

 

それはいいとして。
こちらの本はある意味「辛い本」でした。

以前にも書いたかどうかは忘れましたが(こら)、こちらは第三次世界大戦が勃発し、コバルト爆弾という核爆弾が投下されたあとの世界を描いたものです。

爆弾が投下された北半球は全滅。直接の被害を免れた南半球も他人事ではなく、いわゆる死の灰と呼ばれる、致死量をはるかに超えた放射性物質が漂ってくるため、オーストラリア大陸に到着するのは約6ヶ月後で、それをもって全人類は絶滅すると見られている、というストーリーです。

で。

驚いたのが、こういういわばpost-apocalyptic ものなのに、全然こう、スリリングだったりゾクゾクするような展開が無いこと。
どちらかというと事実を「淡々と」「冷静な語り口で」連ねてあって、そこにところどころ平然と

「当初は(放射性物質の到着が)9月って思われてたけど早まって8月末になりそうだ」

とか

「○○に放射性物質が到着したらしい。全滅した模様だ」

とかそういうのが挿入されます。
本当に静かーな語り口です。パニックを煽るような表現は全くない
よくありがちな、終焉を最後にやりたい放題やって完全なるカオス状態になる、みたいな展開もありません。皆静かに、淡々とこれまでどおりの生活を続ける。

が、これが不思議と逆にじわじわした絶望感を煽るんです。
前半を費やして人々の普段の生活を描いたからこそ、後半の「近づいてくる終末」感が引き立つんだと感じました。

もう自分たちはこの世界に存在しないであろうにも関わらず、人々は「庭にベンチが欲しい」とか「子供がハイハイして目が離せないから playpenが必要だ」とか、そういうごく当たり前の生活を続ける。

潜水艦のキャプテン(アメリカ人)は、コネチカットに住む家族のためにプレゼントを買う。北半球には命の灯火すら確認できないし、その事実を彼は百も承知なのに。

そういうじわじわした「現実」がそれこそゆっくりと放射性物質が漂ってくる時間の経過に併せて押し寄せてくる。

「世界は終わるんだ」「あと○○ヶ月で放射性物質がここに到着する」「到着したら終わり」

所々に挿入されるこういったリマインダーみたいな文章によって、避けようのない現実を否応なしに認識させられる。
時々「うわーーー」と思って読むのが辛くなりました。
特に最後のチャプターはうるっと来ずには読めませんでした。

ラストまで静かな語り口ですが、インパクトたるや相当なものでした。
読んで良かったと本当に思います。

読まれたことのない方は、英語も素直でそこまで難しいこともないと思いますので、ぜひぜひ手に取って見てください。
私は彼の作品、Pied Piperも読んでみたいとウィッシュリストに入れましたし、実は昨日amazonで手っ取り早く手に入るMost Secretをポチりました笑 

Most Secret (English Edition)

Most Secret (English Edition)

 

 すっかり私をfangirl に変えたこのOn the Beach。そこまで暗くないので、興味のある方はぜひ^^