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洋書 Bibliophile's Chitchat

読んだ洋書や日々の読書について語っています。

A World Without You 読了

洋書レビュー

 Booktuber のMollie Readsちゃんを号泣させたこの本、昨日の午後読み終えました。

A World Without You

A World Without You

 

あらすじもほとんど読まぬまま、ただMollieちゃんを泣かせたくらいだからいい本のはずだ、という半ば盲目的な直感で買ったこの本ですが。

いやーー、良かったです。

正直、この本はどうまとまるんだろうと思いました。好きとも嫌いともどっちともつかない感情のまま、でも止められずどんどん読んでいった感じ。
最初、「え?これってどういう話なんだっけ?」と思いましたし、本に書いてあることを素直にそのまま受け取っていいのやら悪いのやら分かりませんでした。だって、主人公のBoを始め同じ学校というか施設にいる友達は皆特殊能力を持っているという設定だし。

ライティング的には、取り立てて文章が綺麗とかは感じませんでしたが、先ほども書いたように先へ、先へと駆り立てる力があります。また、語彙的にも楽だと思います。よほどのことがないと辞書を引かずに読める本というのはYAでも滅多にありませんが(基本的に知らない単語は全部辞書引く派)、こちらは医学用語以外はスラスラ読めました。(おっと、語彙復習せねば…(。-_-。))

また、感情を揺さぶるようなそういう力を持った文体だなぁと感じました。読めば読むほどじわじわくる感じ。

個人的にはBoの妹のPhoebeが好きでした。一見施設送りの兄のBoとは違ってstraight-Aの生徒だし、従順だし、何より「普通」。だけれども実は彼女はそんな自分が嫌で。
一度でいいから、兄のようにありのままの自分でいられたら、と望んだりもする、普通の葛藤を抱える普通の女の子で。

また、Phoebeの目線を通していかに家族全体が「壊れて」いるか、でもそれをひた隠しに「何事もなかったかのように見せようとする」両親の姿も浮き彫りになったりするところも面白かったです。

基本的にはBoの目線からこの物語は語られるのですが、いきなりPhoebeの目線に変わったりすることもあるので、最初は戸惑いました。よく見たらチャプター番号の下にちゃんと誰の目線から語られているのか分かるようになっているんですけどね。そこが最初は戸惑ったかな。

残り70ページくらいから段々Boの考える「現実」と周りが捉える「現実」とのギャップが浮き彫りになり、そしてどっちの考える「現実」が真実なのかが明らかになってきます。そしてそこからが「重い」。

ここまで読むとBoに感情移入するようになってくるので、「現実」が何を意味するのか、がわかってくると非常に切ない気持ちになってくるんです。時々「読み続けたいんだけど、辛くて読めない」という気持ちで本を置くことがありました。深呼吸しないと辛い、というような。

最後の数チャプターは非常に苦しいです。で、そのあとのエピローグで

泣きました。

最後のエピローグはPhoebeの目線から語られるのですが、この中に出てくるPhoebeとBoのダイアログの中でBoが言うセリフで

涙腺破壊

されました。

だって、だって。

 

あの決断を下したあとで、

あれだけの苦しみを味わったあとで

尚且つ、こういうセリフがBoの口から出てくるとは!

 

そう思ったら、一気に感情がぶわーーーーーっと吹き出しました。

ラストは非常に綺麗にまとまっています。とっても美しい。まるで晴れた青空のような。

 

こちらの本は結局mental illnessについてのYAですが、重すぎたりはしないです。
軽くもないけど、重すぎることもない。
ただ、mental illnessを抱える当事者とその家族の状況がうまく描かれています。

おすすめです。