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洋書 Bibliophile's Chitchat

読んだ洋書や日々の読書について語っています。

Becoming Nicole 読了

洋書レビュー

昨日、ずっと読んでいたBecoming Nicoleを読み終えました。 

Becoming Nicole: The Extraordinary Transformation of an Ordinary Family (English Edition)

Becoming Nicole: The Extraordinary Transformation of an Ordinary Family (English Edition)

 

The Nixと並行で読んでいたので時間がかなりかかりましたが、いい本だった!ノンフィクションでここまで楽しんだのは初めてでした。(私基本的にノンフィクションはいまいち…の人なので)

この本を書いた作者のことは全く知らなかったのですが、どうやらピュリッツアー賞を受賞した方のようで。なるほど、どうりで文章に説得力と力があるわけだ。

通常のMemoirs や自伝ものにありがちなfirst person (I am.../I was...)のような感じで語られておらず、Nicole was... のようなthird person、つまり第三者の立場から綴られていくので、すーっと入り込めました。

何よりね、ノンフィクションなのにノンフィクション読んでいる気がしなかったんです。ずっと。

最初から最後までフィクションを読んでいるかのような気持ちでした。
そして、Wyattがわずか2歳で感じ出した自分の「性」への拒絶感が何と切実に感じられたことか。
心の中は女の子なのに、自分の気持ちの向くままにふるまうことが許されない。

He gets to be what he is, but I don't.

Wyatt(後のNicole)のこの言葉が胸に突き刺さりました。

そして、当然のことながらNicoleにつきまとう偏見、いじめ、そして教育機関の怠慢さ。(いや、怠慢じゃなかったのかもしれないけど、Nicoleを守ろうとはしなかった)
あらゆることに読みながら苛立ちを感じざるを得ませんでした。時にはあまりに苦しくて本を閉じざるを得ませんでした。

「性は女か男か、二つしかない。神の思し召しで持って生まれた身体、性を変えようとするなんて冒涜だ」

このような信念のもと、Nicoleのたった一つの願いを踏みにじろうとする周りの大人たち。(子供たちは案外受け入れるんですよ、何の抵抗もなく)
Nicoleの気持ち、切実な願いをまったく無視して自分たちの都合のいいようにルールをねじまげようとする大人たち。

そう、問題は私たち、大人。偏見と固定観念に縛られた、私たち。

読みながら、何度も何度も自分に問いかけました。

「もし子供時代の友達がtransgenderだったら、自分は彼を、彼女を遠ざけたんだろうか?」

「もし姿も心も振る舞いも全く女の子、でも身体は男の子が自分と一緒の女子用トイレに入ってきたら、『一緒のトイレ使うのなんて嫌だ』と拒絶感を示したんだろうか」

と。


そして、一時は「みんな根性が腐ってる。人間ってなんてこんなに小さくて汚いんだろう」と自分が恥ずかしくなりました。

この本には、そういったことを考えさせる力があります。

そんな辛く、苦しい時期でありながらも必死で、全力でNicoleを支え続け、正義を求め続けたNicoleの家族たち。母親のKelly, 父親のWayne,そして双子の兄?Jonas。個の家族は本当に素晴らしかったです。父親のWayneにとっては、非常に辛かっただろうな、と思います。男親だからこそ、双子の男たちを養子に引き取るとわかった時、「あれもしたい、これもしてやりたい」と希望に胸膨らませていたでしょうから。

そんな彼の変化も、読んでいて心が洗われるようでした。

是非、是非、この本を手に取って見てください。この本はNicoleたちの闘いの日々だけではなく、性やtransgender がなぜ生じるのか、そういったことにも触れています。(ご心配なく、そこまで難しい英語で書いてはないです。)
きっと学ぶことが沢山あると思いますし、今私たちがこの物語を読み、理解することは非常に大切だ、と私は考えます。

私はPBを読んでいましたが、この本はお友達にお願いしてハードカバーを手に入れてもらいました。

この本は私にとって非常に大切な本です。今年読んだ中での最高作品に、間違いなく入ります。

皆さんにも、大いにおすすめします。