読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

洋書 Bibliophile's Chitchat

読んだ洋書や日々の読書について語っています。

Under Rose-Tainted Skies 読了

 この本にはGoodreadsで5つ星をつけました。Booktuber のMollieちゃんのおすすめで手にとったんですが。

Under Rose-Tainted Skies

Under Rose-Tainted Skies

 

 最初に申しますと、文句なしの5ツ星!ではありません。星4つかな~と微妙な部分もありました。

そこをあえて星5つにしたのは、mental illnessを患う主人公を描いた作品でここまで真実味がある小説ってある(あった)んだろうか、ということです。ノンフィクションでない限り、無いんじゃないかなと。少なくとも私が読んできた本の中にはなかったです(まぁこれまでそういう本をほとんど読んできたことがない事実は否めませんが)。

そういう点で、色々思うところはあったものの、その真実に根付いたところ(作者自身が主人公と同じ病を持ってますからね)を評価して星5つにしました。

まずライティングですが、非常に強いです。先程も書いたように、作者自身が主人公のNorahと同じ病(広場恐怖症)を患っていることからか、Norahがいわゆるパニック状態になった時の描写がものすごく生々しいんです。その表現にsugar-coating とか遠まわしとか一切なしで、感情や苦しみがひしひしと伝わってきます。まるでNorahの頭の中を覗いて彼女が体験する感情を一緒に体験している感じすらしました。まずこの点が評価できるのではないかと。

Norahの理性と感情、そして自分に対する嫌悪感みたいな心の揺れ動きの描写がまた見事。苦しくなるくらいでした。

でも、この本は悲しい、辛い、苦しいだけではなく、ちゃんと希望とかコミカルな部分も出てきます。実際終わりはポジティブですしね。完全ハッピーエンド♡みたいな明るい終わり方ではないですが、穏やかな中に希望が持てる終わり方をします。

さて、次にストーリーですが、こちらについてはあらすじは深くは語りませんが、最近Everything Everything を読んでしまったせいか、

  • 主人公が家から出られない(Maddy: 極度のアレルギー体質 / Norah:広場恐怖症
  • 隣に引っ越してきた男の子が気になり出す云々という展開

という点でどーも被るなぁ、という個人的には感じました。

が、じゃあ被るからといってどっちが上、というのは無いです。それに、Author's Noteによるとこのストーリーはずっと書き溜めていて温めていた、ということなのでたまたま被ったんだろうね、と。よくありがちな設定かもしれませんし。でも私個人としては飾りのない、ほんとに生々しく、苦しく切ないこっちの方がより現実的に感じるかなぁ。

ただ、肝心のLukeのキャラ設定に関してはちょっと弱かったかなぁという気はします。Norahにとって大きな変化をもたらすキャラクターなのに、イマイチ際立たない。そこがちょっとだけ残念だったかな、という気はしますが、とはいえLukeのNorahに対する想いとか優しさにはしびれます。こちらの作品は作者にとってデビュー作なので、これからに期待したいと思います。

いずれにしても、先ほど書いた様にいわゆる精神疾患を患う方々の胸の内、私たち(幸いながらもそういった疾患を患わない人)にとっては取るに足りない些細なことが、いかに彼ら/彼女たちの世界を揺るがすのか、いかにパニックを引き起こすのか、目の当たりにした気がするという点で、この本はそれだけで評価出来ると思います。

ほんとに読んで良かったです。素直な英語のYAなので、どなたにもおすすめです。

決して軽いfluffyな本ではないですが、読む価値は絶対にあると私は思います。